数ヶ月前、食事中に誤って下唇を噛んでしまったのが全ての始まりでした。傷自体はすぐに治ったのですが、その数日後、同じ場所に小さな透明の膨らみが現れたのです。痛みはないものの、食事のたびに歯に当たり、気になって舌でいじっているうちに自然に潰れてしまいました。中からネバネバした透明な液体が出てきて、一旦は平らになったので安心していたのですが、驚いたことに1週間もしないうちに、また同じ場所に以前より少し大きな膨らみが復活していたのです。これが噂に聞く粘液嚢胞(ミューコシール)でした。ネットで調べると「自然に治ることもあるが、多くは再発する」と書かれており、私は意を決して病院へ行くことにしました。しかし、ここで迷ったのが「何科に行けばいいのか」ということです。家の近くには皮膚科と歯科がありましたが、口の中のことなので、外科的な処置もしてくれそうな「歯科口腔外科」を標榜しているクリニックを選びました。初診の日、先生は私の唇を軽く触診し、「典型的な粘液嚢胞ですね。唾液の出口が傷ついて、行き場を失った唾液が袋状に溜まっている状態です。再発を繰り返しているので、手術で原因の腺ごと取ってしまいましょう」とはっきり説明してくれました。手術と聞いて一瞬ひるみましたが、局所麻酔で15分程度で終わると聞き、その日のうちに予約を入れました。手術当日は、歯の治療と同じような部分麻酔を行い、痛みは全くありませんでした。先生がレーザーとメスを使い分けながら、嚢胞と一緒に、米粒ほどの大きさの「小唾液腺」を3つほど摘出してくれました。これが、いわば唾液が湧き出す「泉」のようなもので、これを残すとまた再発してしまうのだそうです。縫合は溶ける糸で行われ、術後の痛みも処方された痛み止めを1回飲んだだけで治まりました。翌日から数日間は唇が少し腫れて喋りづらかったものの、1週間後の抜糸の頃には違和感もほとんど消えていました。現在、手術から3ヶ月が経過しましたが、再発の兆候は全くありません。あの時、勇気を出して口腔外科を受診して本当に良かったと思っています。もし受診を迷っている方がいたら、伝えたいことがあります。粘液嚢胞は自分で潰しても解決しませんし、むしろ周囲の組織を傷つけて状況を悪化させるだけです。専門の診療科、特に口腔外科であれば、あっという間に解決してくれる「よくある病気」です。鏡を見るたびにため息をつく日々を終わらせるために、まずはプロの診断を仰いでみてください。清潔な診察室で、専門医の手によって原因が取り除かれた瞬間の安堵感は、何物にも代えがたいものでした。
唇にできた謎のしこりの正体と口腔外科での切除体験記録