自分の健康状態を知るために、高価な医療機器を使わなくても、自分の目と手だけでできる重要なチェックがあります。それが、肝機能の低下を示唆する特有の皮膚症状の観察です。原因不明の赤い湿疹が肝臓由来であるかどうかを判断するために、まず「手のひら」をじっくりと観察してください。特に注目すべきは、親指の下の膨らみ(母指球)と小指の下の膨らみ(小指球)の2箇所です。健康な状態であれば、手のひら全体は均一なピンク色をしていますが、肝臓に慢性的なダメージがある場合、この膨らんだ部分だけが鮮やかな赤色になり、中央部分が白く抜けて見える「掌紅斑」が現れます。この赤みは、寒い場所から暖かい場所へ移動したときに一時的に赤くなるものとは異なり、常に存在し、強く押すと白くなりますが離すとすぐに元の赤みに戻ります。次に確認すべきは、上半身の皮膚です。鏡の前で、首の周り、鎖骨の下、肩、腕の上部などをチェックしてください。そこに「クモの巣」のような形をした、赤い1ミリメートルから2ミリメートルの点はありませんか。これがクモ状血管腫です。見た目は小さな赤いシミのようですが、拡大鏡で見ると中心から細い血管が放射状に伸びているのが分かります。もし、自分のお腹に5個、10個とこうした斑点があるならば、肝臓の代謝が著しく停滞している可能性が高いと言えます。また、湿疹というよりも「皮膚の色の変化」にも敏感になってください。肝機能が低下すると、胆汁の色素であるビリルビンが血液中に溢れ出し、皮膚や目の白い部分が黄色くなる「黄疸」が現れます。初期の段階では、自分では気づきにくいため、家族に「最近、目が黄色っぽくないか」と聞いてみるのも良いでしょう。さらに、男性特有のサインとして、乳房が女性のように膨らんでくる「女性化乳房」があります。これも赤い湿疹と同じく、エストロゲンの過剰によるものです。もう一つの指標は、皮膚の乾燥とそれに伴う痒みです。いくら保湿クリームを塗っても改善しない激しい痒みが続き、かいた跡が赤い湿疹のようになっている場合、それは皮膚の乾燥ではなく、血液中の老廃物が神経を刺激しているサインかもしれません。これらのセルフチェックで一つでも当てはまる項目があるならば、それは「たかが肌荒れ」と放置すべきではありません。肝臓は80パーセントが壊れても機能し続けると言われるほど、我慢強い臓器です。裏を返せば、皮膚に症状が出ているということは、すでに肝臓の余裕がかなり失われている状態を意味します。自宅でのチェックを、医療機関を受診するための強力な動機づけにしてください。血液検査を受ければ、数時間で肝機能の現状が判明します。自分の体からの視覚的な信号を正しく解読することが、手遅れになる前に人生を立て直すための第一歩となるのです。
掌の赤みやクモ状血管腫を見逃さないためのチェック法