30代の半ば、私は会社で重要なプロジェクトのリーダーを任され、毎日が緊張と責任の連続でした。その頃から、私の胃腸は反乱を起こし始めました。朝、家を出る直前になると激しい腹痛に襲われ、駅のトイレに駆け込むことが日課となりました。午前中の会議中も、いつお腹が鳴るか、いつ席を立たなければならないかという不安に支配され、仕事に集中することさえ困難になっていました。最初は、近所の内科でもらった整腸剤で凌いでいましたが、症状は良くなるどころか、次第に悪化していきました。食べ物の味は分からなくなり、夜も「明日もお腹が痛くなったらどうしよう」という予期不安で眠れない日々が続いたのです。そんな私が、最終的に心療内科を受診しようと決意したきっかけは、ある同僚の一言でした。「そのお腹の痛み、性格のせいじゃなくて、脳が警告を出しているのかもしれないよ」。その言葉を聞いた瞬間、私は自分が「お腹の病気」ではなく「ストレスによる身体の悲鳴」と向き合わなければならないことに気づきました。心療内科という場所に対して、最初は「心が弱い人が行く場所」という偏見を抱いていました。しかし、実際に診察室に入ってみると、医師は私の胃や腸の動きを、自律神経の働きという科学的な視点から解き明かしてくれました。先生は「あなたの脳が、今の環境を危機的だと判断して、お腹に逃げ道を作っているだけですよ」と言ってくれました。その一言で、自分を責めていた重荷がすっと軽くなったのを覚えています。治療では、過敏になった腸の動きを抑えるお薬のほかに、寝る前に自律神経をリラックスさせるための軽い安定剤を処方されました。さらに、自分が何に対して一番ストレスを感じているのかを医師と共有するプロセスを通じて、私は「すべてを完璧にこなさなければならない」という自分の極端な思考の癖に気づくことができました。心療内科に通い始めて3ヶ月、あんなに執拗だった朝の腹痛は嘘のように消え去りました。もし、あの時意地を張って内科での対症療法だけに固執していたら、私は今頃、さらに重度のうつ病や適応障害にまで発展していたかもしれません。心療内科は、今の痛みを止める場所であると同時に、将来の自分を守るためのメンテナンスルームでもありました。ストレス性胃腸炎という名前がつく不調は、決してあなたの弱さの証ではありません。それは、あなたが一生懸命に社会と戦っている最前線で起きている一時的なエラーなのです。そのエラーを修理するために、専門的な診療科を頼る勇気を持つこと。それが、私がこの経験から得た最大の教訓であり、今同じ苦しみの中にいる人に最も伝えたいメッセージです。お腹の平穏を取り戻すことは、あなたの人生の主導権を自分の手に取り戻すことそのものなのですから。
仕事のプレッシャーで腹痛が続く私が心療内科を選んだ理由