整形外科で診てもらったけれど、骨や筋肉に異常はないと言われた。しかし、右側の背中の鈍い痛みは一向に消えない。そんな時は、痛みの原因が体の表面ではなく、もっと奥深く、つまり内臓にある可能性を考える必要があります。私たちの体の右側には、肝臓、胆のう、膵臓、そして右の腎臓といった重要な臓器が位置しています。これらの臓器に炎症や結石などのトラブルが起こると、その痛みが関連痛として右側の背中に放散されることがあるのです。特に注意したいのが、胆石や胆のう炎です。脂っこい食事を摂った後、数時間してから右の肩甲骨下あたりやみぞおちに激しい痛みが生じるのが特徴で、吐き気を伴うこともあります。これは胆のうが収縮する際に、結石が胆管に詰まることで起こります。また、肝臓の病気、例えば肝炎や肝臓がんなども、進行すると右の背中に重苦しい痛みやだるさを引き起こすことがあります。黄疸や全身の倦怠感といった他の症状があれば、より強く疑われます。さらに、膵臓の炎症である膵炎も、背中に突き抜けるような激しい痛みを起こす病気として知られています。これらの消化器系の病気が疑われる場合、受診すべきは消化器内科です。血液検査で炎症や肝機能の数値を確認したり、超音波(エコー)検査やCT検査で臓器の状態を直接観察したりすることで、診断を下します。内臓からの痛みは、単なる筋肉痛とは異なり、病気の存在を知らせる重要なサインです。安静にしていても痛みが続く、食事と関連して痛みが出る、発熱や吐き気があるといった場合は、自己判断で様子を見ずに、速やかに内科、特に消化器内科の専門医に相談することを強くお勧めします。