右側の背中の痛みがあり、特に深呼吸をしたり、咳やくしゃみをしたりすると痛みが響く、あるいは悪化する。もし、このような呼吸と連動する痛みを感じるなら、その原因は肺や、肺を包む胸膜にある可能性が考えられます。この場合、専門となる診療科は呼吸器内科です。例えば、細菌やウイルスが右の肺に感染して炎症を起こす肺炎になると、発熱や咳、痰といった症状とともに、炎症が起きている側の背中や胸に痛みを感じることがあります。また、肺を覆っている胸膜に炎症が起こる胸膜炎も、呼吸時の鋭い痛みを引き起こします。胸膜炎は肺炎に伴って起こることもあれば、他の病気が原因となることもあります。炎症によって胸膜の間に水(胸水)が溜まると、痛みだけでなく、息苦しさを感じるようになります。さらに、若い世代の痩せ型男性に多い病気として、気胸があります。これは、何らかの原因で肺に穴が開き、空気が漏れて肺がしぼんでしまう状態で、突然の胸や背中の痛みと呼吸困難が特徴です。これらの呼吸器系の病気は、胸部の聴診や、レントゲン、CTといった画像検査で診断されます。呼吸器内科では、これらの検査を用いて肺や胸膜の状態を詳細に評価し、原因に応じた治療を行います。肺炎であれば抗生物質の投与、胸膜炎であれば原因疾患の治療、気胸であれば安静にするか、場合によっては胸に管を入れて漏れた空気を抜く処置(胸腔ドレナージ)が必要となります。背中の痛みは、そのすぐ内側にある臓器からのサインであることが少なくありません。咳や痰、発熱、息切れといった呼吸器症状を伴う背中の痛みを感じたら、安易に筋肉痛と判断せず、呼吸器の専門家である呼吸器内科を受診することが重要です。