大人が風邪をひいた場合、症状によって内科や耳鼻咽喉科など、いくつかの選択肢が考えられます。しかし、対象が子供、特に乳幼児である場合は、迷わず小児科を受診することが鉄則です。なぜなら、子供は大人を小さくしただけの存在ではなく、その体の仕組みや病気の進行の仕方に大きな違いがあるからです。小児科医は、単に子供の病気を診るだけでなく、成長と発達の過程を熟知した専門家です。子供は自分の症状を正確に言葉で伝えることができません。「お腹が痛い」と言っていても、実は全く別の場所に原因があることも珍しくありません。小児科医は、子供の表情や機嫌、呼吸の様子、皮膚の色など、全身の状態を注意深く観察し、隠れたサインを読み解く訓練を積んでいます。また、子供の風邪は症状が急変しやすいという特徴があります。さっきまで元気だったのに急に高熱を出したり、咳き込んで呼吸が苦しくなったりすることがあります。特に、クループ症候群やRSウイルス感染症、気管支炎など、大人では稀でも子供には起こりやすい重篤な呼吸器疾患への移行には細心の注意が必要です。小児科医はこれらの病気の初期症状を見逃さず、迅速に対応することができます。薬の処方一つとっても、小児科には専門性があります。子供は体重や年齢によって薬の量を厳密に調整する必要があり、大人用の薬をただ減らせば良いというものではありません。小児科では、子供の体に合わせた安全な薬を、適切な用法用量で処方してくれます。もちろん、鼻水や咳がひどい場合に、かかりつけの小児科医から耳鼻咽喉科の受診を勧められることもあります。その場合でも、まずは子供の全身状態を最もよく理解している小児科に相談し、その指示に従うのが最も安全で確実な道筋です。大切な我が子の健康を守るため、風邪かな、と思ったら、まずは小児科の専門医を頼りにしてください。
子供の風邪は迷わず小児科を受診しよう