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整形外科以外の首の痛みの受診先とは
つらい首の痛みで整形外科を受診し、レントゲンを撮ってもらった結果、「特に骨に異常はありませんね」と言われることがあります。これは、骨折などの大きな問題がないという意味では安心できる言葉ですが、一方で痛みという症状が現に存在している本人にとっては、原因がはっきりせず不安が募る状況かもしれません。整形外科で明確な原因が見つからない、あるいは治療を受けても症状が改善しない場合、他の診療科を受診することも視野に入れる必要があります。首の痛みは、整形外科が扱う運動器以外の問題によって引き起こされることもあるからです。例えば、首の痛みに加えて、手足のしびれや麻痺、ろれつが回りにくい、激しい頭痛といった神経系の症状を伴う場合は、脳神経外科や神経内科が選択肢となります。脳神経外科では、MRIなどのより精密な画像検査によって、脳や脊髄に腫瘍や血管の異常といった深刻な病気が隠れていないかを探ります。神経内科は、脳や脊髄、末梢神経そのものの機能障害からくる病気を専門とし、しびれやめまい、歩行障害などの原因を診断します。また、首の痛みに発熱や全身の関節のこわばり、体のだるさなどが伴う場合は、内科やリウマチ科への相談が推奨されます。関節リウマチや他の膠原病といった自己免疫疾患が、首の関節に炎症を引き起こしている可能性があるためです。これらの病気は血液検査などで診断され、専門的な治療が必要となります。さらに、めまいや耳鳴りを伴う首の痛みであれば、耳鼻咽喉科が関係していることもあります。首の筋肉の異常が三半規管など平衡感覚を司る器官に影響を与えているケースです。このように、首の痛みという一つの症状でも、それに付随する他の症状によって疑われる原因は多岐にわたります。整形外科での診断を基本としつつも、症状の全体像をよく観察し、適切な専門科の扉を叩く柔軟な視点を持つことが、根本的な解決への鍵となるのです。
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息を吸うと痛むなら呼吸器系の病気も
右側の背中の痛みがあり、特に深呼吸をしたり、咳やくしゃみをしたりすると痛みが響く、あるいは悪化する。もし、このような呼吸と連動する痛みを感じるなら、その原因は肺や、肺を包む胸膜にある可能性が考えられます。この場合、専門となる診療科は呼吸器内科です。例えば、細菌やウイルスが右の肺に感染して炎症を起こす肺炎になると、発熱や咳、痰といった症状とともに、炎症が起きている側の背中や胸に痛みを感じることがあります。また、肺を覆っている胸膜に炎症が起こる胸膜炎も、呼吸時の鋭い痛みを引き起こします。胸膜炎は肺炎に伴って起こることもあれば、他の病気が原因となることもあります。炎症によって胸膜の間に水(胸水)が溜まると、痛みだけでなく、息苦しさを感じるようになります。さらに、若い世代の痩せ型男性に多い病気として、気胸があります。これは、何らかの原因で肺に穴が開き、空気が漏れて肺がしぼんでしまう状態で、突然の胸や背中の痛みと呼吸困難が特徴です。これらの呼吸器系の病気は、胸部の聴診や、レントゲン、CTといった画像検査で診断されます。呼吸器内科では、これらの検査を用いて肺や胸膜の状態を詳細に評価し、原因に応じた治療を行います。肺炎であれば抗生物質の投与、胸膜炎であれば原因疾患の治療、気胸であれば安静にするか、場合によっては胸に管を入れて漏れた空気を抜く処置(胸腔ドレナージ)が必要となります。背中の痛みは、そのすぐ内側にある臓器からのサインであることが少なくありません。咳や痰、発熱、息切れといった呼吸器症状を伴う背中の痛みを感じたら、安易に筋肉痛と判断せず、呼吸器の専門家である呼吸器内科を受診することが重要です。