子供は様々な感染症にかかりながら成長していきますが、その病気によって主な感染経路は異なります。突発性発疹の感染経路の特徴を、他の代表的な子供の病気と比較することで、その性質がより明確に理解できます。まず、突発性発疹の主な感染経路は、唾液を介した「経口感染」や「飛沫感染」であり、感染が成立するためには、キスや食器の共有、近距離での会話といった、かなり濃厚な接触が必要となります。これに対して、冬に流行する「インフルエンザ」や、夏風邪の代表格である「ヘルパンギーナ」「手足口病」なども、主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですが、突発性発疹よりも感染力が強く、保育園などで集団発生しやすいという特徴があります。感染力が桁違いに強いのが、「麻しん(はしか)」や「水痘(みずぼうそう)」です。これらのウイルスは「空気感染(飛沫核感染)」という、最も強力な感染経路をとります。これは、ウイルスを含んだ飛沫が乾燥してさらに小さな粒子(飛沫核)となり、空気中を長時間漂い、遠くにいる人にも感染を広げるというものです。同じ部屋にいるだけで感染してしまうため、一人が発症すると、免疫のない人はほぼ百パーセント感染すると言われています。これらに対しては、ワクチンによる予防が極めて重要です。また、下痢や嘔吐を主症状とする「ロタウイルス」や「ノロウイルス」は、主に「糞口感染」によって広がります。ウイルスが含まれた便や吐瀉物が乾燥し、ホコリと共に舞い上がって口に入ったり、汚染された手で調理したものを食べたりすることで感染します。そのため、おむつ交換後の徹底した手洗いや、汚物の適切な処理が感染拡大防止の鍵となります。このように比較してみると、突発性発疹の感染力は、他の多くのウイルス性疾患と比べて、比較的穏やかであることが分かります。家庭内など、ごく親密な環境で静かに受け継がれていく、それが突発性発疹という病気の感染経路の大きな特徴と言えるでしょう。
突発性発疹と他の病気との感染経路の違い